現代の企業経営において、かつてないほど「自社の存在意義(Purpose)」が問われています。商品やサービスの機能的価値だけでは差別化が困難になり、株主・従業員・顧客・地域社会といった多様なステークホルダーから「この会社は社会にとって善い存在か?」という眼差しが向けられているからです。

もはや、きれいな言葉を並べただけの「経営理念」や、誰も覚えていない「社訓」は意味をなしません。今求められているのは、**不確実な未来を切り拓く羅針盤としての「パーパス(Purpose)」と、それを組織の駆動力に変える「ビジョン・ミッション・バリュー(VMV)」**の再構築です。

私たち**AAII(エーエーアイアイ)**は、数々の企業の変革に伴走してきた実績をもとに、経営戦略と組織開発、そしてクリエイティブを融合させた独自のブランディングメソッドを提供しています。

本記事では、現代になぜ「パーパスブランディング」が必要なのかという背景から、実際にどのように「魂の入った言葉」を紡ぎ出し、組織文化へと浸透させていくのか、その全プロセスを専門的な視点で解説します。


1. なぜ今、「パーパス(存在意義)」の見直しが急務なのか

かつて、企業のブランディングといえば、ロゴを変えたり、キャッチコピーを刷新したりといった「外見」や「イメージ」を整える活動が中心でした。しかし、2020年代に入り、その定義は劇的に変化しています。

1-1. 「機能」から「意味」への価値転換

2000年代以前のマーケティングは、プロダクトの「機能的価値」や「感性価値」を伝えることが主眼でした。しかし現在は、商品そのものの良さは前提条件となり、消費者はそのさらに奥にある**「思想価値(企業の考え方、哲学、姿勢)」**を購入するようになっています。

「この商品を選ぶことは、社会を良くすることにつながるのか?」
「この企業は、環境や人権に対して誠実な姿勢を持っているか?」

このように、企業の**「人格」や「徳」**そのものが、購入や契約の決定打となる時代においては、表面的な化粧(イメージ戦略)は通用しません。企業の根幹にある「私たちはなぜ存在するのか(Why)」というパーパスが、競争優位の源泉となるのです。

1-2. 人材獲得とエンゲージメントの危機

また、パーパスブランディングが注目される最大の理由は、**「人材開発・組織課題」への対応です。
特にミレニアル世代やZ世代は、就職先を選ぶ際に「給与や規模」以上に
「企業文化」や「社会貢献度」**を重視する傾向があります。「自分の仕事が誰の役に立っているのかわからない」「会社の方向性に共感できない」と感じた瞬間、優秀な人材は静かに組織を去っていきます。

労働人口が減少する日本において、「この会社で働くことの誇り」=エンゲージメントを高められない企業は、事業存続そのものが危ぶまれることになります。つまり、ブランディングはもはや広報活動ではなく、**「経営戦略そのもの」**なのです。


2. 強いブランドの骨格「ブランド・プラットフォーム」の設計

AAIIでは、抽象的な「想い」を、経営に資する具体的な「規定」へと落とし込むために、**「ブランド・プラットフォーム」**というフレームワークを用いて開発を行います。ここでは、現代型ブランディングにおける「VMV」の定義を再確認します。

2-1. BRAND CORE(ブランドの中核)

組織の全ての活動の核となる部分です。以下の2つの要素で構成されます。

  • Vision(ビジョン):未来の「ありたい姿」
    • 社会にどんな景色をつくりたいか?(What we want to see)
    • 企業主語だけでなく、社会主語(三人称)で描く「公共の夢」が含まれているか。
  • Mission(ミッション):果たすべき「役割・使命」
    • ビジョンを実現するために、日々何に取り組むのか?
    • なぜ我々がそれをやるのか?(Purpose的要素)

従来の日本企業の多くは、このビジョンとミッションが混同されていたり、単なる目標数値になっていたりすることがあります。AAIIでは、「社会課題(ソーシャルイシュー)」と「自社の強み(ケイパビリティ)」が交差する点から、独自性の高いビジョン・ミッションを導き出します。

2-2. BRAND IDENTITY(ブランドの人格・行動)

定めたビジョンに向かって進む際、組織が持つべき「価値観」や「行動様式」です。

  • Values(バリューズ):大切にしたい価値観/行動指針
    • 無意識レベルで信じていること(企業文化)。
    • ビジョン実現のために、推奨される行動パターン。
    • 判断に迷った時の「ものさし」となる基準。

優れたValuesは、単なるスローガンではなく、評価制度や採用基準にまで落とし込まれることで初めて機能します。


3. AAII式「パーパス探索・言語化」へのアプローチ手法

多くの企業が「MVVを作ったが、形骸化している」「社員に響いていない」という悩みを抱えています。その最大の原因は、**「経営層だけで決めてトップダウンで下ろしたから」か、あるいは「耳触りの良い言葉を並べただけだから」**です。

AAIIは、独自の**「トリプル・ダイヤモンド・プロセス」**(デザイン思考におけるダブルダイヤモンドを発展させたモデル)を用い、納得感と独自性を両立させます。

Step 1: Cognition & Quest(現状認識と探求の旅)

いきなり「将来どうしたいか」を語る前に、徹底的に「自分たちは何者か(アイデンティティ)」を掘り下げます。

  • 創業のDNA解剖: 創業者はなぜこの事業を始めたのか?過去の最大の危機をどう乗り越えたのか?
  • ナラティブ・インタビュー: ハイパフォーマー社員へのインタビューを通じて、現場で起きている「感動エピソード」や「誇り」を抽出します。
  • 「問い」のデザイン:
    • 「私たちは、なぜ存在するのですか?(Why do we exist)」
    • 「なぜこの事業をやっているのですか?(Why are you doing this business?)」
    • 「あなたがここにいる理由は?(Why are you here?)」

これらを突き詰めることで、上辺ではない、血の通った言葉の源泉(インサイト)を探り当てます。

Step 2: Vision Journey(未来の共創)

過去の延長線上で未来を考える「フォアキャスティング」だけでは、イノベーションは起きません。AAIIでは、未来起点で考える**「バックキャスティング」**の思考を取り入れたワークショップを行います。

  • メガトレンド分析: 10年後、20年後の社会はどう変わっているか?テクノロジー、人口動態、人々の価値観の変化をインプットします。
  • ビジョン・デザインへの旅:
    • 「もし明日、わが社が消滅したら、誰が何に困るか?」
    • 「10年後、私たちはどんな存在として、誰に愛されていたいか?」
    • 「私たちの技術で、どんな社会課題を解決できるか?」

ここでは**「センスメイキング(腹落ちの理論)」が重要です。多様な解釈がある中で、経営層と現場リーダーが対話を重ね、「これこそが我々の進む道だ」と共同主観(納得解)**を作り上げていくプロセスをファシリテーションします。

Step 3: Definition(言語化・規定)

抽出されたキーワードを、ブランドとして機能する言葉へと昇華させます。

  • 形容詞を削ぎ落とす: 誰でも言える美辞麗句(安心、安全、信頼など)だけになっていないか?
  • オリジナリティの検証: 他社名を入れても成立するような言葉になっていないか?
  • リズムと強度: 覚えられる長さか? 口に出した時にエネルギーを感じるか?

AAIIのクリエイティブチームは、経営者の想いと現場の熱量を等しく汲み取り、長く愛される「強い言葉」へと磨き上げます。


4. 「作って終わり」にしない。組織への浸透とリーダーシップ開発

VMVは「策定」がゴールではなく、スタート地点です。
「額縁に入れて飾るだけ」で終わらせず、日々の業務での判断基準となり、組織文化として定着させるために、AAIIは人材開発(HR)視点での浸透プログラムを提供しています。

4-1. マーケティング × リーダーシップ論の統合

ブランディングには2つの側面があります。

  1. マーケティング戦略として: 顧客に対する約束、差別化。
  2. リーダーシップマネジメントとして: エンゲージメントとエンパワーメント。

特に後者の「エンパワーメント(権限委譲・能力開花)」には、**明確なValues(行動指針)**が不可欠です。
社員一人ひとりが「自社らしい行動とは何か」を理解し、マニュアルがなくとも自律的に判断して行動できる状態。これこそが、変化の激しい時代に生き残る「ティール型」や「自律分散型」組織の要件です。

4-2. 具体的な浸透施策(インナーブランディング)

  • 階層別ワークショップ: 「自分たちの部署にとって、このミッションは何を意味するか?」を翻訳する対話の場を設計します。
  • ストーリーテリング: ミッションやバリューを体現した社内の事例(ヒーロー・ヒロイン)を発掘し、物語として共有・称賛する仕組みを作ります。
  • 評価制度への反映: 成果(What)だけでなく、バリューに基づいた行動(How)を評価する人事制度設計を支援します。
  • クリエイティブ展開: クレドカード、ブランドブック、コンセプトムービーなど、情緒に訴えかけ、繰り返し接触できるツールを制作します。

5. 優れたValues(行動指針)開発の5つのポイント

多くの企業で躓きがちなのが、この「Values」の設計です。AAIIでは以下の視点を重視しています。

  1. 組織フェーズとのフィット感:
    スタートアップには勢いを生む「野心的な行動指針」が、成熟企業には変革を促す「挑戦を称える行動指針」が必要です。現状維持のためのルールブックになっていないか確認します。
  2. 納得と共感(Agreement & Empathy):
    「なぜその行動が必要なのか(理由)」が分かり、「その行動が好きだ、正しい(感情)」と思えるか。この両輪が揃わないと、人は自発的には動きません。
  3. 内発的動機づけ(Intrinsic Motivation):
    上から押し付けられたノルマではなく、「もっとこうしたい」「顧客に喜ばれたい」という社員の内なる欲求を刺激する言葉になっているか。
  4. How to say(言葉の磨き方):
    例えば、「顧客第一」というありきたりな言葉ではなく、「お客様の想像を超える」「ラストワンマイルの気配り」など、その会社独自の「方言(カルチャーワード)」を活かした表現を採用します。
  5. 守破離の「破」を目指す:
    組織の既存の枠組みや成功体験を、健全に壊し、アップデートしていくことを肯定するバリューズであるか。

6. あなたの会社の「羅針盤」をご一緒に作りませんか?

企業のブランディングは、決して簡単な道のりではありません。
時には、過去の成功体験を否定したり、耳の痛い現状と向き合ったりする必要があります。だからこそ、社内の利害関係から独立した、プロフェッショナルな「第三者の視点」と「ファシリテーション」が必要です。

AAIIの強みは、以下の3つのハイブリッドにあります。

  1. Business Strategy(経営戦略): 事業環境やメガトレンドを読み解く「左脳的」アプローチ。
  2. Creative & Design(表現力): 人の心を動かし、記憶に残る言葉やデザインを紡ぐ「右脳的」アプローチ。
  3. Organizational Development(組織開発): 社員の声を拾い上げ、対話を通じて納得解を醸成する「人間中心的」アプローチ。

もし、貴社が以下のような課題をお持ちであれば、ぜひ一度ご相談ください。

  • 事業の多角化・拡大に伴い、会社全体の向かうべき方向が見えにくくなっている。
  • 経営理念が古くなり、今の若い社員や市場環境とズレが生じている。
  • M&Aや事業承継のタイミングで、組織の一体感を醸成したい。
  • 採用において、自社の魅力や「らしさ」をうまく言語化できていない。
  • 次世代リーダー候補を巻き込んで、未来の会社の姿を議論させたい。

言葉が変われば、意識が変わります。
意識が変われば、行動が変わります。
行動が変われば、企業文化が変わり、やがて未来が変わります。

AAIIは、御社だけの「唯一無二の物語(ナラティブ)」を掘り起こし、未来へと力強く進むための旗印(ブランディング)をご一緒につくりあげるパートナーです。

変化を恐れず、本質的な価値創造に挑む経営者様からのお問い合わせをお待ちしております。


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