会社名(コーポレートブランド)が金融機関や採用候補者からの「信用」を担保するための器であるのに対し、個別の「サービス名」や「商品名(プロダクトブランド)」は、売上に直結する「集客の武器」です。
新規事業の立ち上げや新商品のリリースにおいて、サービス名の良し悪しはWeb広告のクリック率やCPA(顧客獲得単価:1人の顧客を獲得するのにかかる費用)を大きく左右します。しかし、多くの企画担当者が専門用語に縛られたり、マーケティング視点を欠いたネーミングをしてしまうことで、大きな機会損失を生んでいます。
今回は、AAIIのクリエイティブディレクター・藤井にインタビューを実施。広告効果を最大化するための「サービス名のネーミング戦略」について話を聞きました。
ブランディングの大原則。マインドシェアと「第一想起」を獲得せよ
AAII編集部: 会社名と個別のサービス名で、ネーミングの考え方はどのように変わるのでしょうか。
藤井: サービス名において最も重要で、絶対に目指すべき大原則のゴールがあります。それが「マインドシェア(顧客の脳内シェア)」の獲得です。そして、その結果として生まれる「第一想起」をいかに取るかがすべてです。
AAII編集部: 「第一想起」とは、具体的にどのような状態でしょうか。
藤井: ある特定の悩みやジャンルを考えた時に「真っ先に思い浮かぶこと」です。
たとえば、「住まい探し(引越し)」と考えた時、多くの人が真っ先に「SUUMO(スーモ)」を思い浮かべますよね。他には「フリマアプリといえばメルカリ」「名刺管理といえばSansan」。このように、「カテゴリ名(ユーザーの課題)=サービス名」という強烈な結びつきを顧客の脳内に作ることこそが、ネーミングの究極の正解なんです。
AAII編集部: 確かに、第一想起を取れれば、競合と比較される前に選ばれますね。
藤井: その通りです。第一想起を獲得したサービスは、顧客が自ら進んでスマホの検索窓にサービス名を入力してくれます。これを「指名検索」と呼びます。指名検索が増えれば、高いWeb広告費を払い続けなくても顧客が集まるため、ビジネスとして圧倒的に強い状態になります。
第一想起を取るために「機能」ではなく「ベネフィット」を名乗れ
AAII編集部: では、その第一想起を獲得するためには、どんな名前をつければ良いのでしょうか。
藤井: 大前提として、サービス名を見た瞬間に「自分にとってどんな良い未来があるのか」が直感的に伝わる必要があります。マーケティング用語でこれを「ベネフィット(顧客が手にする価値)」と呼びます。
よくある失敗が、システムの機能や商品の成分(スペック)をそのまま名前にしてしまうケースです。「〇〇高速管理システム」や「高濃度〇〇配合サプリ」といった名前は、提供側の論理を語っているだけで、顧客の感情は動きません。
AAII編集部: スペックではなく、ベネフィットを名前にするのですね。
藤井: はい。たとえば、あるスケジュール管理ツールの名前を考える時、「AI自動日程調整システム」とするのと、「サクッポ(サクッとアポが取れる)」とするのでは、ターゲットに刺さる角度が全く違います。
顧客は「AIの機能」が欲しいのではなく、「面倒な日程調整を一瞬で終わらせて早く帰りたい」のです。その情緒的な実利(ベネフィット)を分かりやすい言葉に翻訳して名前に冠することが、マインドシェアを奪う第一歩になります。
認知負荷を徹底的に排除し、CPAを下げる
AAII編集部: ベネフィットを伝える上で、他に気をつけるべきことはありますか。
藤井: 「認知負荷」を徹底的に排除することです。認知負荷とは、パッと見た時の「読みにくさ」や「意味のわかりにくさ」、つまり脳へのストレスのことです。
Web広告やLP(ランディングページ:広告をクリックした先に表示されるWebサイト)において、顧客がその画面を見る時間はわずか数秒です。その数秒の間に、サービス名が長すぎたり、読めない英語の造語だったりすると、顧客の脳には絶対に定着せず、広告費だけが無駄に消化されていきます。
AAII編集部: 認知負荷が高いと、CPA(顧客獲得単価)が悪化するわけですね。
藤井: はい。私たちは、オシャレさや画数よりも「スマホの検索窓に打ち込みやすいか」「フリック入力でストレスがないか」といった超実務的な観点から、名前の文字列を徹底的に検証します。スムーズに指名検索できるストレスのない言葉でなければ、第一想起は取れないからです。
LP用のドメイン取得は、アイデアが出た瞬間に動く
AAII編集部: サービス名が決まりかけた時に、実務面で気をつけるべきことはありますか。
藤井: サービス名の場合は特に「LP用のドメイン(URL)」の空き状況が重要になります。
Web完結のサービスやD2C(ネット通販)ブランドの場合、サービス名とURLが一致していないと、ユーザーに「偽サイトかな?」と違和感を与え、購入率や登録率が低下します。せっかくの最高のサービス名も、ドメインが他社に取られていてはマーケティングの威力が半減します。良い名前のアイデアが出たら、後回しにせず、その場ですぐにドメインが取得できるかを確認し、空いていればすぐに押さえておくスピード感が求められます。
タグラインとの役割分担で、名前に「余白」を作る
AAII編集部: 短くて打ち込みやすい名前が良いことはわかりましたが、それだとサービスの特徴が伝わりきらない不安があります。
藤井: そこは「タグライン」で補強すれば全く問題ありません。タグラインとは、企業やサービスの価値を端的に表す短いキャッチコピーのことです。
サービス名単体で機能もターゲットもすべて説明しようとすると、必ず名前が長くなり、認知負荷が上がって自滅します。サービス名はベネフィットを伝える短い言葉にする。そして、具体的な機能は、ロゴの横に添えるタグラインで補足する。この役割分担を明確にすることで、覚えやすさと機能の分かりやすさを両立できます。
サービス名も「100案」出して、やらないことを定義する
AAII編集部: AAIIでは、サービス名や商品名の開発でも100案を出すのでしょうか。
藤井: はい、もちろんです。サービス名こそ、ターゲット層に合わせた「抽象度(どれくらい直接的な表現にするか)」の調整が極めてシビアに求められます。
「もっと直感的なひらがなが良いか」「BtoB向けだから少しカッチリした漢字を残すか」「あえて英語の造語で先進感を出すか」。100案という膨大な方向性をテーブルに並べ、事業責任者の方と一緒に「自社のターゲットにはこの見せ方は刺さらない」と、やらないことを一つずつ潰していきます。
この泥臭い検証プロセスを経ることで、競合他社に埋もれず、第一想起と指名検索を勝ち取る最強の1案が必ず見つかります。
最後に:サービス名は、事業を勝たせる最強の営業マンになる
AAII編集部: 最後に、新しいサービス名や商品名を考えている方へメッセージをお願いします。
藤井: サービス名は、24時間365日、Web上であなたに代わって顧客に魅力を伝え続ける「最強のトップセールスマン」です。だからこそ、機能説明のような妥協した名前や、認知負荷の高いポエムをつけて、営業の足を引っ張らせてはいけません。
AAIIでは、50〜100案の徹底した検証とマーケティングの視点で、広告効果を最大化し、第一想起を勝ち取る実利的なネーミングを考案します。機能ではなく、顧客の心を動かす強い言葉を共に創り上げましょう。
AAII ブランド開発支援:事業を勝たせる社名考案・ネーミング開発
「会社名」や「サービス名」を単なる言葉遊びで終わらせないために。
AAIIでは、ネーミングのご依頼に対して50〜100案の徹底した検証プロセスを実施。マーケティング視点で認知負荷を極限まで下げ、Web広告のCPA(顧客獲得単価)改善や第一想起の獲得に直結する強いプロダクトネーミングを考案します。
さらに、プロのコピーライターによる「タグライン」の開発と、事業成長を見据えたマーケティング戦略、LP制作まで一気通貫で伴走し、確実な売上増に貢献いたします。
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