新しい商品やサービスを立ち上げる際、「どうすればキャッチーな名前になるのか」「ネーミングのコツを知りたい」と考える担当者は多いでしょう。
世の中には言葉遊びのテクニックやアイデア出しのフレームワークが溢れていますが、ビジネスにおけるネーミングは「座布団一枚」をもらうための大喜利ではありません。小手先のコツだけで名前をつけると、結果的に指名検索されず、広告費ばかりがかさむ「マーケティングの失敗」を引き起こします。
今回は、AAIIのクリエイティブディレクター・藤井にインタビューを実施。プロのコピーライターが実務で使っている「ネーミングの3つの鉄則」と、コツだけに頼ることの危険性について話を聞きました。
鉄則1:文字数を極限まで削る。理想は「4文字」
AAII編集部: サービスや商品名を考える際、プロが実践している具体的な「コツ」や鉄則があれば教えてください。
藤井: 第一の鉄則は「文字数を極限まで削ること」です。私たちはこれを、認知負荷を下げるための最もシンプルで強力なアプローチだと考えています。
人間がパッと見て、ストレスなく一瞬で記憶できる文字数は限られています。具体的には、日本語であれば「4文字(〜5文字)」が最も脳に定着しやすく、口に出して言いやすい理想的なリズムです。「メルカリ」「スマートHR」「ラクスル」など、第一想起を獲得している有名サービスの多くがこの法則に当てはまります。
AAII編集部: 確かに、短い方が覚えやすいですね。しかし、短くするとサービスの特徴が伝わらなくなりませんか?
藤井: そこが、多くの人が陥る罠です。特徴をすべて名前に詰め込もうとするから、7文字や10文字を超える長い名前になり、結果的に誰の記憶にも残らなくなります。
名前で全てを語る必要はありません。名前は「4文字」まで削ぎ落としてマインドシェア(記憶)を取りに行き、残りの特徴や機能は、ロゴの横に添える「タグライン(キャッチコピー)」で説明する。この役割分担をすることが、最も集客に強いネーミングの構造です。
鉄則2:発音とタイピングを完全に一致させる
AAII編集部: 第二の鉄則は何でしょうか。
藤井: 「発音とタイピングを完全に一致させること」です。これは、スマホ時代において指名検索を逃さないための絶対条件になります。
たとえば、フランス語のおしゃれな造語で「Ciel(シエル)」という名前をつけたとします。この名前を人づてに聞いた顧客が、後からスマホで検索しようとした時、「シエル」「shieru」「ciel」と、頭に浮かぶ発音に対して複数のタイピング候補が存在してしまいます。
AAII編集部: 入力に迷いが生じるわけですね。
藤井: はい。さらに悪いことに、スペルが難しくて一度で正しく打てなかった場合、顧客は「まあいいか」とすぐに離脱してしまいます。
本当に強いネーミングというのは、「耳で聞いた音」と「スマホのフリック入力で打ち込む文字」の間に一切のズレがない名前です。「見た目のかっこよさ」よりも、「検索窓への打ち込みやすさ」を優先することが、CPA(顧客獲得単価)を下げるプロの鉄則です。
鉄則3:「機能」の略語ではなく「ベネフィット」を名前にする
AAII編集部: 文字数を削り、タイピングしやすくする。その上で、どんな言葉を選べば良いのでしょうか。
藤井: 第三の鉄則は、「機能の略語」ではなく「ベネフィット(顧客が手にする未来)」を名前にすることです。
長い名前を短くする際、多くの人が「自動管理システム」を「自管システム」のように、機能を表す言葉をそのまま略してしまいます。しかし、これでは提供側の都合を押し付けているだけで、顧客の感情は全く動きません。
AAII編集部: 感情が動かなければ、第一想起は取れないと。
藤井: その通りです。顧客が求めているのは機能ではなく「そのサービスを使うことで、自分がどう楽になるのか、どう変われるのか」という実利です。
たとえば「会計の手間がなくなる」というベネフィットがあるなら、会計システムという機能を略すのではなく、「ラク(楽)になる」という顧客側の感情を起点に言葉を削り出していく。これが、顧客の心に刺さるネーミングのコツです。
「コツ」だけで終わらせるとポエムになる。100案の検証が必要な理由
AAII編集部: これら3つの鉄則を守れば、自分たちでも良いネーミングが作れそうですね。
藤井: アイデアを出す段階では、この鉄則は大いに役立ちます。しかし、出てきたアイデアの中から「たった一つの正解」を選ぶフェーズにおいて、コツやテクニックだけに頼るのは非常に危険です。
文字数が短くて、打ち込みやすくて、ベネフィットっぽい言葉を繋ぎ合わせただけでは、自社のブランドの「芯(スタンス)」が抜けた、ただのフワッとしたポエムや耳触りの良いだけの造語になってしまうからです。
AAII編集部: テクニックだけでは、事業を勝たせる武器にはならないと。
藤井: はい。だからこそ私たちは、これらの鉄則を踏まえた上で、あえて「50〜100案」という膨大な数のアイデアをテーブルに並べます。
「この言葉は短いけれど、うちの泥臭い事業スタンスとは違う」「これは打ち込みやすいけれど、ターゲットである富裕層には安っぽく映る」。このように、100案を見比べながら「自社がやらないこと」を一つずつ潰していく泥臭い検証プロセスがあって初めて、テクニックは「戦略」へと昇華されます。
最後に:テクニックを戦略に変えるプロの思考量
AAII編集部: 最後に、ネーミングのコツを探している方へメッセージをお願いします。
藤井: インターネット上には多くの「ネーミングのコツ」が転がっていますが、それはあくまで言葉を整えるための表面的なツールに過ぎません。
本当に重要なのは、あなたの事業の熱量や泥臭いスタンスを、その整えられた短い言葉の中にどうやって高純度で注ぎ込むかです。
AAIIでは、マーケティングの鉄則を熟知したプロのコピーライターが、50〜100案という圧倒的な思考量であなたの事業に真正面からぶつかります。小手先のテクニックではなく、指名検索と第一想起を確実に勝ち取る「戦略としてのネーミング」を共に創り上げましょう。
AAII ブランド開発支援:事業を勝たせる社名考案・ネーミング開発
「会社名」や「サービス名」を単なる言葉遊びで終わらせないために。
AAIIでは、ネーミングのご依頼に対して50〜100案の徹底した検証プロセスを実施。文字数、発音、タイピングのしやすさといったマーケティングの鉄則をクリアした上で、自社のスタンス(やらないこと)を明確に定義し、第一想起の獲得に直結する強いプロダクトネーミングを考案します。
さらに、プロのコピーライターによる「タグライン」の開発と、事業成長を見据えたマーケティング戦略、LP制作まで一気通貫で伴走し、確実な売上増に貢献いたします。
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