新規事業や新サービスの立ち上げにおいて、ホワイトボードの前に集まってネーミングのアイデア出しをしたものの、「どれも似たような名前になる」「競合他社と代わり映えしない」「数時間考えてもピンとくるものが出ない」と行き詰まってしまうケースは非常に多く見られます。

アイデアが枯渇するのは、思考力が足りないからではなく、同じ業界の「常識」や「機能の説明」という狭い枠の中で言葉を探しているからです。この壁を突破するには、言葉の切り口を意図的に変える「視点のズラし方」が必要になります。

今回は、AAIIのクリエイティブディレクター・藤井にインタビューを実施。アイデア出しで行き詰まった時に、プロのコピーライターが実際に使っている発想のフレームワークと、圧倒的な数のアイデアを生み出す思考の裏側について話を聞きました。

なぜアイデアが枯渇するのか。同業他社の「常識」という罠

AAII編集部: サービス名を自分たちで考えようとすると、すぐにアイデアが尽きて似たような言葉ばかりになってしまいます。なぜでしょうか。

藤井: 最大の原因は、無意識のうちに「同業他社のネーミングのルール」に囚われているからです。

たとえば、ITツールなら「〇〇テック」や「〇〇クラウド」、人材系なら「〇〇キャリア」や「〇〇ナビ」といったように、業界ごとの暗黙のフォーマットがあります。そこから外れるのが怖いため、機能を表す単語を少しだけ言い換えたり、英語にしてくっつけたりするだけの「小手先の言葉遊び」になってしまうのです。

AAII編集部: 枠の中で考えているから、アイデアが広がらないのですね。

藤井: その通りです。マインドシェア(第一想起)を獲得し、指名検索される強いネーミングを作るには、その業界の常識という枠から一度意図的に飛び出し、全く別の角度からサービスを見つめ直す「視点のズラし方」が不可欠です。

プロの視点のズラし方①:別の業界から借りてくる「メタファー(暗喩)」

AAII編集部: では、具体的にどのように視点をズラせば良いのでしょうか。プロが使っているフレームワークを教えてください。

藤井: 一つ目は「メタファー(暗喩)」を使う手法です。サービスの機能やベネフィットを直接言葉にするのではなく、「それが何に似ているか」「どんな役割を果たしているか」を別の世界から借りてきます。

たとえば、企業のセキュリティを守る強固なシステムがあったとします。「高セキュリティ管理システム」と機能で語るのではなく、それを「城の堀(Moat)」や「盾(Shield)」「番犬(Watchdog)」といった全く別の言葉に置き換えてみるのです。

AAII編集部: 別の名詞に置き換えることで、直感的なイメージが湧きやすくなりますね。

藤井: はい。直接的な機能説明よりも、メタファーを使った方が顧客の脳内に鮮明な映像が浮かびやすく、認知負荷が下がります。業界用語から離れるため、競合他社とも絶対に被らない独自の世界観を作ることができます。

プロの視点のズラし方②:感情と行動に直接触れる「オノマトペ(擬音語)」

AAII編集部: 他にはどのような切り口がありますか。

藤井: 二つ目は「オノマトペ(擬音語・擬態語)」の活用です。これは、BtoCサービスや、手軽さをアピールしたいSaaS(ソフトウェア)などで非常に強力な武器になります。

「サクッと」「ピタッと」「スルッと」といったオノマトペは、人間が子供の頃から無意識に使っている言葉であり、認知負荷が極めて低いのが特徴です。

AAII編集部: 確かに、理屈抜きで感覚的に伝わりますね。

藤井: その通りです。たとえば「迅速なデータ移行サービス」とするよりも、「スルッと移行」や「サク転」のようにオノマトペを組み込んだ方が、ユーザーは「なんだか簡単そうだな」と直感的にベネフィットを感じ取ってくれます。硬い業界にこそ、あえてオノマトペを持ち込むことで強烈なフック(引っ掛かり)を生み出すことができます。

プロの視点のズラし方③:英語の海の中で目立つ「あえての泥臭い日本語」

AAII編集部: BtoBのサービスなどは、どうしてもかっこいい英語や造語にしたくなりますが、そこでも視点はズラせるのでしょうか。

藤井: そこがまさに三つ目の切り口である「逆張り」です。BtoBのITサービスなどは、どの会社も競うように「スマートな英語の造語」をつけます。すると、展示会やWeb広告の中で、似たようなアルファベットの羅列が並び、顧客から見ればどれも同じに見えてしまいます。

AAII編集部: かっこよくした結果、逆に埋もれてしまうのですね。

藤井: はい。そこでプロは、周りが英語だらけの環境において、あえて「泥臭い日本語」や「日常の話し言葉」をサービス名に採用して視点をズラします。

スマートな英語のロゴが並ぶ中で、突然「助太刀」や「カオナビ」といったド直球な日本語が現れると、圧倒的な異物感が生じて顧客の目に留まります。業界のトレンドがどちらを向いているかを把握し、あえて逆方向へ振り切ることで、一気にマインドシェアを奪うことができるのです。

フレームワークは「100案」を出すための準備運動に過ぎない

AAII編集部: これらのフレームワークを使えば、自分たちでも良いアイデアが出せそうな気がしてきました。

藤井: アイデアの「数」を出すための起爆剤としては非常に有効です。しかし、これらの切り口を使って数案〜十数案を出しただけで満足してしまうのは危険です。

メタファーもオノマトペも、ただ使えばいいというものではありません。ターゲットの属性や事業のスタンスに合っていなければ、ただのウケ狙いやポエムになってしまいます。

AAII編集部: アイデアを出した後の「検証」が必要なのですね。

藤井: その通りです。私たちはプロとして、これらのフレームワークをすべてフル稼働させ、50〜100案という膨大な方向性のアイデアを強制的に捻り出します。

そして、その100案をテーブルに並べ、「このオノマトペは軽すぎるからやらない」「このメタファーは少し難解で認知負荷が上がるから捨てる」と、経営者と共に泥臭い検証を行います。フレームワークはあくまで100案を出すための準備運動であり、本当に事業を勝たせる名前は、その後の徹底した「やらないことの定義(消去法)」の先にあるのです。

最後に:アイデアの限界を感じたら、プロの思考量に頼る

AAII編集部: 最後に、アイデア出しで行き詰まっている企画担当者や経営者へメッセージをお願いします。

藤井: 会議室で何時間も悩んで同じような言葉しか出てこなくなった時、それは皆さんの事業への熱量が足りないのではなく、「言葉の引き出し」と「視点をズラす技術」が限界を迎えているサインです。

そこで妥協して無難な名前を選んでしまうと、後の集客(CPA)で必ず苦労することになります。

限界を感じたら、ぜひ私たちプロのコピーライターにその熱量ごと丸投げしてください。AAIIでは、50〜100案という圧倒的な思考量と視点のズラし方で、あなたの想像の枠を飛び越える最強のネーミングをご提案します。

AAII ブランド開発支援:事業を勝たせる社名考案・ネーミング開発

「会社名」や「サービス名」を単なる言葉遊びで終わらせないために。

AAIIでは、ネーミングのご依頼に対して50〜100案の徹底した検証プロセスを実施。行き詰まったアイデアの壁をプロの視点で突破し、認知負荷を極限まで下げ、Web広告のCPA改善や第一想起の獲得に直結する強いプロダクトネーミングを考案します。

さらに、プロのコピーライターによる「タグライン」の開発と、事業成長を見据えたマーケティング戦略、LP制作まで一気通貫で伴走し、確実な売上増に貢献いたします。

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