新しいサービスや商品を立ち上げる際、多くの企画担当者が「他社の成功事例」や「ヒット商品のネーミング」をリサーチします。
しかし、世の中でヒットしているサービス名を見て「なんとなく響きが良いから」「キャッチーだから」という表面的な感想で終わってしまっては、自社のビジネスに活かすことはできません。第一想起(マインドシェア)を獲得し、指名検索を稼いでいる成功事例には、マーケティング的な視点に基づいた明確な「構造」と「共通点」が存在します。
今回は、AAIIのクリエイティブディレクター・藤井にインタビューを実施。誰もが知る有名サービスの名前を解剖し、成功するネーミングの裏側に隠された「指名検索されるロジック」について話を聞きました。
ヒット事例に共通する「認知負荷の低さ」と「ベネフィット」
AAII編集部: 世の中でヒットしているサービス名や商品名には、どのような共通点があるのでしょうか。
藤井: 最大の共通点は、ターゲット層にとっての「認知負荷(読みにくさ・わかりにくさ)」が極限まで低く抑えられていると同時に、「ベネフィット(顧客が手にする実利)」が直感的に伝わる構造になっていることです。
提供側の言いたいこと(機能やスペック)を詰め込むのではなく、顧客の脳にストレスを与えずにスッと入り込む言葉が選ばれています。これが結果的にマインドシェアの獲得に繋がり、Web広告のCPA(顧客獲得単価)を下げる最強の武器になっています。
AAII編集部: 具体的な事例で解説していただけますか。
藤井: わかりやすい例として、BtoB向けのネット印刷サービス「ラクスル」と、クラウド人事労務ソフト「SmartHR」の2つを解剖してみましょう。どちらも、それぞれの業界で圧倒的な第一想起を獲得している素晴らしいネーミングです。
事例解剖①「ラクスル」:ベネフィットとタイピングの完全一致
AAII編集部: まず「ラクスル」のネーミングの凄さはどこにあるのでしょうか。
藤井: ラクスルは「楽に刷る」という顧客のベネフィットを、極限まで削ぎ落として4文字のカタカナにしたネーミングです。
ネット印刷というサービスにおいて、顧客が求めているのは「高度な印刷技術(機能)」ではなく、「面倒な手配をせずに、PCから簡単に印刷できる(ベネフィット)」ことです。この実利を「ラク(楽)」という言葉でストレートに表現しています。
AAII編集部: 4文字というのもポイントですか。
藤井: はい。以前お話しした「文字数を極限まで削る」という鉄則を完璧に満たしています。そして何より素晴らしいのが、発音とスマホでのフリック入力(タイピング)が完全に一致している点です。
「ラクスル」と聞いて、別の文字を打ち間違える人はほぼいません。テレビCMやWeb広告でこの名前を一度でも耳にすれば、数日後でも迷わず検索窓に打ち込むことができます。認知負荷の低さとベネフィットの提示が両立した、指名検索を獲得するための最適解と言えます。
事例解剖②「SmartHR」:ターゲットリテラシーと信頼感の最適化
AAII編集部: では、もう一つの「SmartHR」についてはいかがでしょうか。英語表記ですが、認知負荷は高くないのですか。
藤井: ここが「ターゲット層のリテラシーから逆算する」という戦略の面白いところです。
SmartHRのターゲットは、企業の経営者や人事担当者です。彼らにとって「HR(Human Resources=人的資源・人事)」という言葉は日常的に使うビジネス用語であり、全く認知負荷がかかりません。むしろ、人事労務というお堅い領域において、安っぽい造語ではなく「Smart(賢い・洗練された)」という英語を掛け合わせることで、BtoBサービスとしての強固な「信頼感」を獲得しています。
AAII編集部: ターゲットの日常に馴染む言葉を選んでいるのですね。
藤井: その通りです。もしこれが一般消費者向けのサービスであれば「スマート人事」のように日本語にした方が良いかもしれませんが、BtoBの決裁者向けだからこそ、この英語表記が「最適な抽象度」として機能しているのです。
ネーミングとタグラインの完璧な役割分担
AAII編集部: どちらの事例も、名前単体では「どんな機能があるか」までは詳しくわかりませんよね。
藤井: そこが最大のポイントです。成功しているサービスは、名前にすべてを背負わせようとしません。「名前」でベネフィットと世界観を伝え、第一想起を獲得する。そして、具体的な機能や提供価値は「タグライン(キャッチコピー)」で補完するという役割分担が徹底されています。
ラクスルであれば「ネット印刷のラクスル」、SmartHRであれば「クラウド人事労務ソフト SmartHR」といったように、名前に添えられるタグラインが機能説明の役割を担っています。これにより、名前自体の文字数を増やさずに、サービスの全体像を顧客へ正確に届けることができるのです。
事例の「表面」を真似ず、「構造」を自社に落とし込む
AAII編集部: これらの成功事例を踏まえて、これからサービス名を考える担当者はどう動くべきでしょうか。
藤井: 絶対にやってはいけないのは、事例の「表面的な響き」だけを真似することです。「ラクスルが成功したから、うちも〇〇スルという名前にしよう」といった安易な発想は、自社の事業スタンスやターゲットと噛み合わず、ただの質の低いコピーになってしまいます。
真似るべきは表面の言葉ではなく、「認知負荷を下げている」「ベネフィットを伝えている」「タグラインと役割分担している」というマーケティングの「構造」です。
AAII編集部: その構造を自社に当てはめるために、AAIIのプロセスが活きるのですね。
藤井: はい。他社の成功構造を自社のサービスにどう翻訳するか。これを頭の中だけで見つけるのは困難です。だからこそ私たちは、50〜100案という膨大なアイデアを出し、経営者と共に泥臭い検証を行います。
「うちのターゲットなら、ラクスルのようなカタカナの直球が刺さる」「いや、うちの業界ならSmartHRのような英語の信頼感が必要だ」。100案を見比べながらこの議論を繰り返すことで、他社の真似ではない、自社にとっての最強の最適解が必ず見つかります。
最後に:指名検索される武器を共に創る
AAII編集部: 最後に、自社サービスのネーミングに悩んでいる方へメッセージをお願いします。
藤井: 世の中のヒット商品や成功しているサービス名は、決して偶然の産物でも、センスだけで作られたものでもありません。そこには、顧客の検索窓での行動をリアルに想像し、CPAを限界まで下げるための緻密なマーケティング戦略が隠されています。
AAIIでは、成功事例の裏側にあるロジックを熟知したプロの視点で、50〜100案の徹底した検証を実施します。単なる言葉遊びを抜け出し、あなたの事業に第一想起と指名検索をもたらす、最強のネーミングを共に創り上げましょう。
AAII ブランド開発支援:事業を勝たせる社名考案・ネーミング開発
「会社名」や「サービス名」を単なる言葉遊びで終わらせないために。
AAIIでは、ネーミングのご依頼に対して50〜100案の徹底した検証プロセスを実施。成功事例の構造をロジカルに分析・適用し、ターゲット層の認知負荷を極限まで下げて、Web広告のCPA(顧客獲得単価)改善や第一想起の獲得に直結する強いプロダクトネーミングを考案します。
さらに、プロのコピーライターによる「タグライン」の開発と、事業成長を見据えたマーケティング戦略、LP制作まで一気通貫で伴走し、確実な売上増に貢献いたします。
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