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AAII編集部: 今回は、これから起業する人やフリーランスになる人が必ず理解しておかなければならない「確定申告の基礎知識」について深掘りしていきます。確定申告とはそもそも何なのか、誰がいつまでにやらなければならないのか。お話を聞くのは、会社員時代に副業からスタートし、現在はクリエイティブディレクターとして個人事業を運営しているフジヰさんです。フジヰさん、よろしくお願いします。

フジヰ: よろしくお願いします。僕自身、リクルートなどの会社員として働いていた頃は、毎月の給与明細から天引きされている税金の額を見るだけで、税金がどう計算されているのかという仕組みには全く無関心でした。しかし、個人事業主として独立した瞬間、この無関心は命取りになります。

確定申告は、ただ税金を払うための面倒な義務ではありません。自分のビジネスが1年間でどれだけの利益を生み出し、社会に対してどれだけの責任を果たすのかを証明する、経営の最も重要なインフラです。今回は、専門用語を極力排除し、これからビジネスを始める人が絶対に知っておくべき「税金の基礎と防衛策」を徹底的に解説します。

そもそも確定申告とは何か?会社員と個人事業主の違い

AAII編集部: まずは根本的なところからお聞きします。確定申告とは一体何を行う手続きなのでしょうか。

フジヰ: 確定申告とは、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた「所得」を計算し、国(税務署)に報告して、納めるべき税金(所得税)の額を確定させる手続きのことです。

ここで最も重要なのが「売上」と「所得」の違いです。 クライアントから振り込まれた金額の合計が「売上」です。そこから、ビジネスを運営するためにかかった経費(パソコン代、通信費、交通費など)を差し引いた、手元に残る純粋な利益のことを「所得」と呼びます。日本の税金は、売上ではなく、この「所得」に対してかけられます。この所得を自分で計算し、国に申告するから「確定申告」と呼ぶわけです。

AAII編集部: 会社員時代は確定申告をしたことがないという人も多いと思います。なぜ会社員はやらなくていいのでしょうか。

フジヰ: 会社員の場合は、所属している会社が毎月の給料から大体の税金を天引き(源泉徴収)して国に納めてくれています。そして、年末に「年末調整」という形で、1年間の正確な税額を会社が代わりに再計算し、払いすぎていれば還付し、足りなければ追加で徴収して精算を終わらせてくれます。 つまり、会社が確定申告を代行してくれている状態です。しかし、会社という枠組みから外れて独立した個人事業主やフリーランスは、この計算と報告の義務をすべて自分自身で行わなければなりません。

確定申告が必要な「対象者」の基準。副業の場合は?

AAII編集部: では、具体的にどのような人が確定申告をしなければならないのでしょうか。

フジヰ: 確定申告が必要になる主な対象者は、以下の通りです。

  1. 個人事業主・フリーランスとして事業を行っている人 専業でビジネスをしており、1年間の事業所得(売上から経費を引いた額)が基礎控除である「48万円」を超えている場合は、原則として全員に確定申告の義務が発生します。
  2. 会社員で、副業の所得が年間20万円を超えた人 本業で会社員として働きながら、副業(Web制作、ライティング、動画編集など)を行っている場合、その副業で得た「所得(売上から経費を引いた額)」が年間で20万円を超えると、確定申告が必要になります。

AAII編集部: 副業の所得が20万円以下の場合は、何もしなくていいのでしょうか。

フジヰ: そこが非常に危険な落とし穴です。所得税(国に払う税金)の確定申告は不要になりますが、お住まいの市区町村に払う「住民税」については、副業の所得がたった1円でも発生した時点で役所へ申告する義務があります。これを放置していると、後から住民税の未払いを指摘され、ペナルティを受けることになります。

いつやるの?確定申告の「期間」とスケジュールの落とし穴

AAII編集部: 確定申告は、1年のうちのいつ行えばいいのでしょうか。

フジヰ: 原則として、申告対象となる年の「翌年2月16日から3月15日まで」の1ヶ月間が確定申告の提出期間として法律で定められています。 例えば、2025年の1月1日から12月31日までに稼いだ分の確定申告は、2026年の2月16日から3月15日の間に提出しなければなりません。

AAII編集部: もし、この3月15日の期限を過ぎてしまったらどうなるのでしょうか。

フジヰ: 期限に遅れると、取り返しのつかないペナルティが発生します。 まず、本来納めるべき税金に加えて「無申告加算税」という罰金が上乗せされます。さらに、遅れた日数分だけ利息のような形で「延滞税」も加算されていきます。

そして、個人事業主にとって最も痛いのが、後述する「青色申告の65万円控除」の権利を剥奪されることです。1日でも期限に遅れると、最大65万円の特別控除という最強の節税メリットがその年は使えなくなり、手取りのキャッシュが数十万円単位で吹き飛ぶことになります。確定申告において、期限の厳守は絶対条件です。

確定申告をしないとどうなる?無申告の恐ろしい代償

AAII編集部: 「バレないだろう」とたかを括って、意図的に確定申告をサボったり、ごまかしたりする人もいると聞きます。

フジヰ: 税務署の調査能力を甘く見てはいけません。クライアント側(発注元)が「誰にいくら支払ったか」を税務署に提出しているため、そこからお金の流れを辿られ、個人の無申告はあっさりとバレます。

無申告が発覚し、それが悪質な所得隠しだと判断された場合、「重加算税」という極めて重いペナルティが課せられ、本来の税額の最大40パーセントが上乗せされます。さらに数年分を遡って請求されるため、一発で事業が倒産するレベルの負債を抱えることになります。

また、ペナルティという観点だけでなく、「確定申告をしていない=公的な収入の証明が一切ない」という状態になります。 事業を拡大するために銀行や日本政策金融公庫から融資を受けようとしても、確定申告書の控えがなければ門前払いです。新しくオフィスや家を借りるための賃貸契約も審査に落ちますし、事業用のクレジットカードすら作れません。 確定申告は、社会的な信用を得るための最低限のパスポートなんです。

税金を合法的に安くする最強の防衛策「青色申告」

AAII編集部: ペナルティの怖さは理解できました。では、正しく申告をした上で、支払う税金を合法的に安くする方法はあるのでしょうか。

フジヰ: それが、個人事業主の最強の防衛策である「青色申告」です。 確定申告には「白色申告」と「青色申告」の2種類があります。白色申告は事前の手続きが不要ですが、節税メリットが一切ありません。一方で青色申告は、事前に税務署へ申請を出し、複式簿記というルールで帳簿をつけることを条件に、利益から最大65万円を無条件で差し引いてくれる(税金を安くしてくれる)制度です。

この青色申告を選ぶだけで、年間で支払う税金や国民健康保険料が数十万円単位で安くなります。起業したら絶対に青色申告を選んでください。 青色申告の仕組みと、どれだけ手元にキャッシュが残るかのシミュレーションについては、以下の記事で徹底的に解説しています。

知らないと大損。青色申告で最大65万円の特別控除を確実に受ける方法

また、青色申告を行う大前提として、管轄の税務署へ「開業届」と「青色申告承認申請書」をセットで提出しておく必要があります。この手続きを忘れると青色申告はできません。まだ済んでいない方は、以下の記事を読んで今日中にオンラインで終わらせてください。

起業の第一歩!失敗しない開業届の書き方と提出のベストなタイミング

確定申告は「作業」ではなく「インフラの構築」である

AAII編集部: 青色申告にするためには「複式簿記」での帳簿づけが必要とのことですが、経理の知識がない素人には難しくないですか。

フジヰ: 手作業やエクセルでやろうとすれば、専門知識の壁にぶつかって確実に破綻します。確定申告の時期に領収書の山と格闘し、本業がストップしてしまうフリーランスはまさにこのパターンです。

今の時代、確定申告の経理業務は自力でやるものではありません。優秀な「クラウド会計ソフト」を導入し、業務をシステムに丸投げして自動化するのが当たり前です。 事業用の銀行口座やクレジットカードをソフトに連携させておけば、日々の売上や経費のデータは自動で吸い上げられ、AIが勝手に複式簿記のルールに従って帳簿を作成してくれます。あなたはスマホやパソコンでその提案を承認するだけです。

個人事業主が絶対に導入すべきクラウド会計ソフト3選

AAII編集部: 具体的に、どのクラウド会計ソフトを選べば確定申告が一番ラクになるのでしょうか。

フジヰ: 国内シェアトップ3の以下のソフトから、ご自身のITリテラシーや事業のスタイルに合わせて選んでください。どれも無料お試し期間があります。

  1. freee(フリー)会計 簿記の知識が全くなく、借方や貸方という専門用語を見たくない人に圧倒的におすすめです。スマホアプリの直感的な操作だけで、家計簿をつけるような感覚で確定申告が完了します。僕のような経理アレルギーのクリエイターには最適のツールです。

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  1. マネーフォワード クラウド確定申告 銀行口座やクレジットカード、電子マネーなど外部ツールとのデータ連携スピードが最強です。将来的に売上が拡大し、株式会社化(法人成り)を見据えて、税理士とスムーズにデータを共有できる拡張性の高いシステムを作っておきたい起業家に向いています。

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  1. やよいの青色申告オンライン 起業初年度のランニングコストをとにかく抑えたい方にはこちらが最強です。セルフプランであれば初年度0円で利用できるため、リスクゼロでクラウド会計ソフトの自動化を体験できます。税理士からの信頼度が最も高い老舗ブランドの安心感も魅力です。

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それぞれのソフトの機能比較や、導入のステップについては、以下のピラー記事で完全に網羅しています。導入前に必ず確認してください。

確定申告の基本から提出まで。個人事業主が選ぶべき最強のクラウド会計ソフト

AAII編集部: 確定申告は義務ではなく、事業の信頼性を担保し、クラウドツールで自動化して乗り切るべき経営のインフラだということがよく理解できました。

フジヰ: その通りです。確定申告に怯えるのは、税金の仕組みと自動化ツールを知らないからです。正しい知識を身につけ、バックオフィスをテクノロジーで効率化し、あなたの本業であるビジネスの成長にすべてのエネルギーを注いでいきましょう。