創業から順調に売上を伸ばし、社員数が増えてきたタイミングで、多くの経営者が直面する「見えない壁」があります。「現場が社長の意図を汲み取れない」「経営戦略と理念がバラバラに動いている」といった、経営と理念の分断です。
今回は、AAIIのクリエイティブディレクター・フジヰにインタビューを実施。社長一人の背中では組織を引っ張れなくなった時、トップの脳内にある想いを「言語化」し、組織全体を自走させるインフラへと変換するプロセスについて話を聞きました。
組織拡大の壁。「社長の背中」だけでは人は動かなくなる
AAII編集部: 創業期は一丸となっていた組織が、規模が大きくなるにつれて「経営と現場の分断」を起こしてしまうのはなぜでしょうか。
フジヰ: 最も大きな原因は、会社の理念や向かうべき方向性が「社長の頭の中」にしか存在していないからです。
社員が数人から十数人の頃は、社長の圧倒的な熱量や、背中を見ていれば「なんとなく会社の向かう先」が伝わります。いわゆる阿吽の呼吸で組織が回るフェーズです。しかし、社員が30人、50人と増え、中途採用や多様な価値観を持つメンバーが入ってくると、もはや「背中を見て察しろ」というコミュニケーションは通用しません。
AAII編集部: カリスマ性だけでは限界が来るのですね。
フジヰ: はい。社長が頭の中で描いている「この事業で社会の何を変えたいのか」という戦略や熱量が、誰にでも分かる「明確な言葉」として定義されていない。だから、新しく入った社員は「ただの業務」として仕事をこなし、経営陣との間に致命的な熱量の温度差(分断)が生まれてしまうのです。
世の中の実例:松下幸之助はなぜ「言葉」にこだわったのか
AAII編集部: カリスマ経営者と呼ばれる人たちも、そうした壁にぶつかってきたのでしょうか。
フジヰ: むしろ、偉大な経営者ほど「自分の頭の中にあるものを言語化することの重要性」を強烈に理解しています。
たとえば、パナソニック(旧・松下電器産業)の創業者である松下幸之助氏。彼は稀代のカリスマ経営者ですが、自身の背中やオーラだけで巨大組織を引っ張ろうとはしませんでした。彼は、自分たちが何のために事業を行うのかを「水道哲学」という極めて分かりやすく強靭な言葉(理念)へと翻訳し、それを繰り返し発信し続けました。
AAII編集部: カリスマであっても、徹底的に言語化していたのですね。
フジヰ: その通りです。経営トップの熱量を、社長がいなくても機能する「言葉のインフラ」へと変換する。それによって、現場の数万人の社員が同じ基準で判断し、自走できるようになる。これこそが、理念と経営を一体化させる唯一の方法なのです。
トップの熱量を「現場の共通言語」に翻訳する
AAII編集部: 社長の頭の中にあるものを言語化する際、どのような壁があるのでしょうか。
フジヰ: 社長自身が「自分の想いを、誰もが共鳴できる強い言葉に翻訳できない」という壁です。
私が過去に伴走してきたプロジェクトでも、経営者の方々は皆、社会に対する強烈な憤りや、事業への圧倒的な情熱を持っています。しかし、それをいざ言葉にしようとすると、「業界ナンバーワンを目指す」「お客様に寄り添う」といった、無難で説明的な言葉になってしまうことが非常に多いのです。
AAII編集部: 想いはあるのに、言葉の器が追いつかない状態ですね。
フジヰ: はい。また、数字(KPI)に強い経営者ほど、戦略を数値化することは得意ですが、それを「人の感情を動かす言葉」に変換することが苦手な傾向にあります。
前回の記事でも触れましたが、数字やKPIの理解は、事業の土台として絶対に不可欠です。しかし、数字だけでは人の心は動きません。社長の脳内にある泥臭い原体験や緻密な戦略を、現場の社員が「よし、明日からこう動こう」と思えるような、熱を帯びた「共通言語」へと翻訳すること。この『言語化の力』こそが、組織の分断を埋める決定的なピースになります。
実例:言語化がハレーションを鎮め、組織を繋ぐ
AAII編集部: フジヰさんが手がけられた「言語化」によって、組織の分断が解決した事例はありますか。
フジヰ: 私が過去にVMV策定に携わった、ある大手事業会社でのプロジェクトがまさにそうでした。そこでは、経営陣が描く戦略と、現場の営業担当者のマインドセットが完全に乖離し、部門間でもハレーション(摩擦)が起きている状態でした。
AAII編集部: どのようにしてその乖離を埋めたのでしょうか。
フジヰ: 私たちは、経営陣の戦略(目指す市場や倒すべき古い価値観)と、現場が抱える泥臭い葛藤の両方を徹底的にヒアリングしました。そして、その両方を結びつける「強い一本の矢印(言葉)」を削り出したのです。
単に綺麗なスローガンを作ったわけではありません。経営陣の意図を、現場の日常業務の判断基準になる言葉へと『翻訳』したのです。この明確な言葉(インフラ)ができたことで、現場は「自分たちの仕事は、この社会課題を解決するためのクリエイティブな挑戦なんだ」と理解し、経営と現場の足並みがピタリと揃いました。
AAII 企業理念・VMV開発支援:言語化パッケージで組織のインフラを創る
経営と理念の分断は、会社の成長を止める最大のボトルネックです。社長の頭の中にある熱量や戦略を、いつまでも「暗黙の了解」のままにしておいてはいけません。
AAIIの強みは、事業の数値を理解した上で、それを「人の心を動かすクリエイティブな言葉」へと変換する圧倒的な『翻訳力(言語化パッケージ)』にあります。
私たちは、社長の脳内にある泥臭い想いを徹底的に引き出し、プロのコピーライティングとアートディレクションの力で、組織全員が同じ未来を信じて動ける「強靭なインフラ(言葉)」へと創り変えます。
社長の背中への依存から脱却し、言葉の力で自走する強い組織を共に創り上げましょう。
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