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AAII編集部: 今回は、起業時の必須手続きである開業届を「オンラインで提出する方法」に特化して解説します。お話を聞くのは、会社員時代に副業からスタートし、現在はクリエイティブディレクターとして個人事業を運営しているフジヰさんです。フジヰさん、よろしくお願いします。

フジヰ: よろしくお願いします。僕が独立の準備をしていた頃、「開業届を出すには平日の昼間に管轄の税務署へ行かなければならない」という固定観念がありました。会社員として働きながら、あるいは起業直後の最もリソースが貴重な時期に、わざわざ役所へ出向いて窓口で待たされるのは、経営戦略として完全に間違っています。

現在は、マイナンバーカードとスマホさえあれば、自宅のデスクから一歩も動かずに数分で手続きを完結できる「完全オンライン提出」が当たり前の時代です。今回は、国税庁の複雑なシステムに迷い込むことなく、無料ツールを活用して最短ルートで開業届をオンライン提出する手順を徹底的に解説します。


なぜ税務署へ行くべきではないのか?オンライン提出(e-Tax)の3つのメリット

AAII編集部: 税務署に直接行くのではなく、オンライン(e-Tax)で提出することには、時短以外にどのようなメリットがあるのでしょうか。

フジヰ: ただ「移動時間が省ける」というレベルの話ではありません。事業のインフラ構築を最速で進めるために、以下の3つの絶対的なメリットがあります。

1. 24時間365日、土日や深夜でも即座に提出できる

税務署の窓口は平日17時で閉まってしまいます。副業で起業準備をしている会社員にとって、この時間制限は致命的です。オンライン提出であれば、金曜日の深夜に事業のアイデアが固まり「よし、起業しよう」と決意したその瞬間に、スマホから手続きを完了させることができます。このスピード感こそが、オンライン提出の最大の武器です。

2. 「受付完了の通知」がデータで即座に手に入る

開業届を出すと、銀行で事業用の屋号付き口座を開設したり、オフィスの賃貸契約を結んだりする際に「開業届の控え」の提出を求められます。 窓口で提出した場合は、その場で受付印を押された紙の控えをもらいますが、これを紛失すると再発行に膨大な手間がかかります。オンライン提出の場合、e-Taxの「受信通知(受付完了画面)」というデジタルデータが控えの代わりとして法的に認められます。PDFとして一生クラウド上に保存しておけるため、いつでもどこでも事業の証明として引き出すことが可能です。

3. 記載ミスや漏れをシステムが事前に弾いてくれる

紙の書類を手書きして提出した場合、後日「ここの項目の書き方が間違っています」と税務署から電話がかかってきて、修正のために再度呼び出されるという最悪のケースがあります。 しかし、後述する無料の作成ツールを使ったオンライン提出であれば、システムが自動で「必須項目の未入力」や「矛盾する内容」をエラーとして検知してくれます。つまり、送信ボタンを押せた時点で、書類としては完璧な状態が担保されているということです。


オンライン提出に必要な「3つの事前準備」

AAII編集部: 今すぐオンライン提出をやりたくなってきました。事前に準備しておくべきものは何ですか?

フジヰ: 以下の3つだけ手元に用意してください。これさえあれば、今日中に手続きが完了します。

1. マイナンバーカード(署名用電子証明書付き) オンライン提出における必須アイテムです。「通知カード(紙のペラペラのカード)」では提出できません。写真付きのプラスチック製マイナンバーカードが必要です。また、カード発行時に設定した「英数字6文字以上のパスワード(署名用電子証明書暗証番号)」を必ず思い出しておいてください。ここでつまずく人が非常に多いです。

2. マイナンバーカードを読み取れるスマートフォン(またはICカードリーダー) パソコンから手続きを行う場合でも、最近のスマートフォン(iPhone 7以降、またはNFC対応のAndroid)があれば、スマホをICカードリーダー代わりにしてマイナンバーカードを読み取ることができます。専用のリーダーをわざわざ買う必要はありません。

3. 無料の「開業届作成ツール」のアカウント これが最重要です。国税庁が提供している「e-Taxソフト」を直接使ってはいけません。

AAII編集部: えっ、国税庁の公式ソフトは使わない方がいいんですか?

フジヰ: はい。国税庁のシステムは非常にUI(操作画面)が古く、専門用語が羅列されているため、簿記や税務の知識がない初心者が触ると確実に心が折れます。「利用者識別番号の取得」などの複雑な初期設定だけで日が暮れてしまいます。 手続きを数分で終わらせるためには、API連携を利用した民間の「無料作成ツール」を経由して提出するのが現在の最適解です。


【完全無料】オンライン提出に対応した神ツール2選

AAII編集部: では、どのツールを使えばいいのでしょうか。

フジヰ: 先ほどの記事でも触れましたが、以下の2つのツールが現在の二強です。どちらも完全無料で、質問に答えていくだけで書類が完成し、その画面からそのままe-Taxへ送信(オンライン提出)まで完結できる神ツールです。

  • freee開業(公式)はこちら スマホだけで完結させたいなら圧倒的にこちらです。「お店を開きますか?」「従業員は雇いますか?」といったクイズのような質問にタップで答えていくだけで、自動的に開業届のデータが生成されます。そのまま専用アプリ経由でマイナンバーカードを読み取り、数秒で送信が完了します。
  • マネーフォワード クラウド開業届(公式)はこちら 将来的に会計ソフトもマネーフォワードを使いたいと考えている人は、こちらで作成してください。freee同様、ナビゲーションに従って入力するだけで書類が完成し、スマホアプリ(マネーフォワード クラウド確定申告アプリ)を使って簡単にオンライン提出が可能です。

なお、開業届の「屋号」の決め方や「職業欄」の具体的な書き方については、以下のピラー記事で詳細に解説しています。入力項目で迷った場合は必ずこちらを参照してください。

>> 起業の第一歩!失敗しない開業届の書き方と提出のベストなタイミング


開業届とセットで「青色申告承認申請書」もオンライン提出する

AAII編集部: ツールを使えば本当に一瞬ですね。提出時に気をつけるべきことはありますか?

フジヰ: 「青色申告承認申請書」も絶対にセットでオンライン提出することです。 開業届単体をオンラインで出しても、節税のメリットは1円もありません。開業届を出す最大の目的は、最大65万円の特別控除を受けられる「青色申告」の権利を得ることです。

先ほど紹介したfreee開業やマネーフォワードのツールでは、開業届を作成するプロセスの中で「青色申告の申請も同時に行いますか?」という項目が必ず出てきます。ここで「はい(青色申告で提出する)」を選択すれば、システムが2つの書類のデータを同時に作成し、一括でe-Taxへ送信してくれます。これを忘れると後から追加で申請する羽目になり、期限(3月15日または開業から2ヶ月以内)を過ぎるとその年は何十万円も税金を損することになります。

青色申告で得られる圧倒的なキャッシュフローの改善効果については、こちらの記事で徹底的に解説しています。起業家としての数字の感覚を養うためにも熟読してください。

>> 知らないと大損。青色申告で最大65万円の特別控除を確実に受ける方法


提出完了後は、そのまま「クラウド会計ソフト」のインフラ構築へ

AAII編集部: オンライン提出が無事に完了したら、次はどう動くべきでしょうか。

フジヰ: 画面に「受付完了(送信成功)」のメッセージが出た瞬間、あなたは正式な個人事業主です。そして、その熱量を保ったまま、次に事業の数字を管理する「クラウド会計ソフト」の契約と設定を済ませてください。

青色申告の65万円控除を受けるためには、複式簿記での日々の帳簿づけが必須になります。しかし、これを手書きやエクセルで行うのは不可能です。開業手続きで使った「freee」や「マネーフォワード」は、そのままクラウド会計ソフトのアカウントとしてシームレスに移行できるようになっています。

独立初日に事業用の銀行口座とクレジットカードを作り、それをクラウド会計ソフトに連携させておく。これだけで、日々の経理作業はAIによる「自動仕訳」へと切り替わり、あなたは本業のクリエイティブや事業開発に100%のリソースを投下できるようになります。

国内シェアトップ3のクラウド会計ソフト(freee、マネーフォワード、弥生)の具体的な選び方や、自分に合ったツールの見極め方については、以下の記事にまとめています。事業の命運を分けるシステム選びですので、必ず確認して導入を進めてください。

>> 確定申告の基本から提出まで。個人事業主が選ぶべき最強のクラウド会計ソフト


【参考】個人事業主が選ぶべき最強のクラウド会計ソフト3選

事業のインフラとして即日導入すべきツールです。必ず無料お試し期間を利用して、自分の銀行口座との連携や操作感を確認してください。

  1. freee(フリー)会計の公式サイト・無料お試しはこちら 簿記の知識ゼロで、スマホアプリから直感的に経理を終わらせたいクリエイターやフリーランスに最も選ばれています。
  2. マネーフォワード クラウド確定申告の公式サイト・無料お試しはこちら 銀行やカードとのデータ連携精度が最強です。将来の法人成りを見据え、拡張性の高いシステムを構築したい起業家向けです。
  3. やよいの青色申告オンラインの公式サイト・初年度無料登録はこちら 「初年度無料」の圧倒的なコストパフォーマンス。老舗ブランドの安心感と手厚いサポート体制を重視する方に最適です。

AAII編集部: 役所での待ち時間をゼロにし、手続きから会計インフラの構築までを一気通貫でデジタル化することが、強い事業を作る第一歩なんですね。フジヰさん、今回も実践的なノウハウをありがとうございました。

フジヰ: ありがとうございました。バックオフィス業務はテクノロジーに任せ、本質的なブランド価値の創造に集中していきましょう。