自社のミッションやビジョンを策定する際、「もっとスマートで、かっこいい言葉にしてほしい」とオーダーされる経営者の方は非常に多いです。確かに、採用ページや名刺に印字された時に見栄えのする、スタイリッシュな英語や洗練されたコピーには憧れるものです。

しかし、その「かっこよさ」を追求するあまり、現場の実態と乖離した実体のない「ポエム」を生み出してしまう企業が後を絶ちません。

今回は、AAIIのクリエイティブディレクター・フジヰにインタビューを実施。「かっこいい言葉」が組織に及ぼす罠と、表面的な美しさを捨てて、現場を泥臭く動かす「機能する言葉」を創り出すための視点について話を聞きました。

「かっこいい言葉」は、現場を思考停止させる

AAII編集部: ミッションをかっこよくしたい、と考えるのは自然なことのように思えますが、何が問題なのでしょうか。

フジヰ: 「かっこよさ」そのものが悪いわけではありません。問題なのは、かっこよさを優先するあまり、言葉の「解像度」を下げてしまうことです。

経営陣が抱えている事業の生々しい課題や、現場の泥臭い葛藤。これらを「スマートでかっこいい言葉」に変換しようとすると、どうしても「Innovation(革新)」「Synergy(相乗効果)」「Next Stage(次の舞台へ)」といった、抽象的で誰も傷つかないポエムになってしまいます。

AAII編集部: 確かに、響きはかっこいいですが、何をすべきかは分かりませんね。

フジヰ: はい。言葉が抽象的になればなるほど、現場の社員は「で、明日から具体的にどう動けばいいの?」と思考停止に陥ります。ミッションの本来の目的は、現場の判断基準となり、組織のアクションを促すことです。壁に飾って「かっこいいね」と満足するためのアート作品ではないのです。

世の中の実例:ナイキの「Just Do It.」はポエムではない

AAII編集部: 世の中で「かっこいい」とされている有名なミッションやスローガンも、実は違うのでしょうか。

フジヰ: 一番誤解されやすいのが、ナイキの「Just Do It.」です。この言葉は世界で最も有名で、最高に「かっこいいコピー」として認知されていますよね。

しかし、この言葉の本質は「スマートなポエム」ではありません。彼らがこの言葉に込めているのは、「言い訳をするな、ごちゃごちゃ言わずにやれ」という、極めて泥臭く、ストイックで厳しいアクションの強要です。

AAII編集部: おしゃれな言葉ではなく、厳しい行動指針なのですね。

フジヰ: その通りです。だからこそ、アスリートたちは限界を迎えた時にこの言葉を思い出し、最後の一歩を踏み出すことができる。ナイキの言葉がかっこいいのは、表面的な響きがおしゃれだからではなく、その言葉の裏に「限界を突破する」という泥臭く強烈な機能(スタンス)が宿っているからです。

実例:「自由」という名の、最も厳しく泥臭い要求

AAII編集部: フジヰさんの実体験の中で、一見かっこよく見えて、実は泥臭く機能している言葉の事例はありますか。

フジヰ: 私が以前所属していた、大手事業会社のミッションやバリューがまさにその構造を持っています。

この会社は、外から見ると「圧倒的な当事者意識」や「Follow Your Heart(自分の心に従え)」といった、非常に自律的で自由、そしてスタイリッシュでかっこいい言葉を掲げているように見えます。学生や求職者からも「自由でかっこいい会社」として絶大な人気があります。

AAII編集部: 確かに、束縛されない自由なイメージがありますね。

フジヰ: しかし、中に入って現場で働いてみると、その言葉の本当の意味(機能)に気づかされます。

「自分の心に従え」「お前はどうしたいんだ?」と問われるということは、言い換えれば「会社や上司のせいにするな。すべての結果は自分で責任を持ち、自分でKPI(数字)を達成しろ」という、極めて厳しく泥臭い要求なのです。

AAII編集部: かっこいいスローガンの裏には、厳しい現実があるのですね。

フジヰ: はい。彼らの言葉は、決して外向けに「かっこつける」ために作られたものではありません。多種多様な事業を展開する中で、現場の社員一人ひとりに「圧倒的な成果」を出させるための、最も機能的なインフラ(ルール)として設計されているのです。

結果としてそれが外から「かっこよく」見えているだけであり、順番が逆なのです。機能美を追求した結果としてのかっこよさと、最初からかっこよさを狙って作ったポエムとでは、組織を動かす力が天と地ほど違います。

AAII 企業理念・VMV開発支援:ポエムを捨て、機能美を削り出す

もしあなたの会社のミッションが、誰が聞いても「かっこいいですね」としか言われないような抽象的な横文字の羅列になっているなら、それは現場で全く機能していない証拠です。

AAIIでは、社長の虚栄心を満たすためだけの「かっこいいポエム」は一切書きません。事業の厳しいKPIや現場の泥臭い葛藤を直視し、それを突破するために最も機能する「鋭利な言葉」をプロのコピーライティングで削り出します。

表面的なかっこよさを捨て、組織の熱量を引き出し、事業を確実に前進させる「機能美としてのミッション」を共に創り上げましょう。

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